TV「関ジャム」: ユーミンの音楽的発明
ユーミン。松任谷由実、もしくは荒井由実。今回の関ジャムはこのユーミンの発明をフューチャー。彼女が世に出た70年代はフォークソング全盛期。シンプルなコード進行に、シンプルな歌詞をのせるのが音楽の主流の時代にもたらした発明についての特集でした。 数多あるユーミンの楽曲を70年代、80年代、90年代にわけて彼女の発明を解説しています。
70年代
- 73年 ひこうき雲
- 75年 ルージュの伝言
- 74年 やさしさに包まれたなら
- 75年 卒業写真
- 76年 中央フリーウェイ
- 79年 DESTINY
ひこうき雲はUKロックバンド「プロコロハルム」の「青い影」のコード進行を受けている。コードが下がり続けていく進行。
- 74年 「海を見ていた午後」
- 歌詞が絵画・風景画をみているような描写。実際の固有名詞を入れて現実感を出しながら、現実の場所とは微妙に異なるが、聞いていて心地のよい言葉を選んでいる。例「山手のドルフィン」=>実際は「根岸のドルフィン」。
- コード進行はG/Aという分数コードを入れることで、不思議な浮遊感、空気感を演出。
- 全体的にリアルとファンタジーが入り混じる演出を行っている。
- 76年 中央フリーウェイ
- 実際は「中央自動車道」。中央フリーウェイでおしゃれ。
- 右に競馬場、左にビール工場はリアル描写
*80年代 - 80年 サーフ天国、スキー天国 - 80年 恋人がサンタクロース - 81年 守ってあげたい - 84年 ノーサイド - 85年 シンデレラ・エクスプレス - 88年 リフレインが叫んでる - 89年 ANNIVERSARY
苗場スキー場のタイアップ曲が入るが、当時はバブルスキーブームの前で、時代をさきどっていた。
ここでユーミンの発明を3つほど紹介 - サビでの転調がすごい - 恋人がサンタクロース - 「つむじ風~」の前後、サビの途中でコード進行が GからDへ - 転調の違和感をかんじさせず自然にかつ、サビの途中でさらに盛り上げるポイントをつくりあげている
構成の巧みさ
- 恋人がサンタクロース
- Bメロからサビにいくと見せかけて、ギターソロの間奏を挟んだ後に、Bメロ、サビ、のシーケンス
- 間奏にいくことで高揚感を盛り上げていき、サビで爆発させる
- 恋人がサンタクロース
カメラの台数を増やした歌詞作り
- ダイアモンドダストが消えぬ間に
- 映像的なとらえ方、カメラワークを意識した歌詞、とにかく視点が目まぐるしく変わる
- 1コーラス目で、「真夏のクリスマス」南半球、2コーラス目で「ひとりの冬」、北半球の冬に代わる。
- 「紅サンゴ」、「トナカイ」と夏と冬を対照させながら、角という共通点でリンクさせる
- 同様に、「Diamond Dust」「いくせんの泡」と夏と冬を対比させているが、キラキラという共通点でリンクさせている
- ダイアモンドダストが消えぬ間に
90年代
感想 大ファンでもなかったのですが、さすがに今回出てきたユーミンの曲はすべてわかりました。これはまさに新しい時代を築いた歌手であったことの証左なのでしょう。Apple Musicにアルバムつくって聞いてみようかと思っております。 番組は3つの世代に分けた割に、90年代の「発明」の描写がほとんどなかったのは、彼女の素晴らしい発明については次世代の若者にも浸透し、90年代にはある程度一般化したテクニックになってしまったということなのでしょうか。 たまたま聞いていたラジオ番組「アトロク」で、加山雄三がユーミンが出てきたときに「俺にはできない」と舌を巻いたというエピソードを紹介されていました。それぐらいすごい発明をしたユーミンもある時代で音楽の流れが変わった事を感じた、と発言をしていたとことです。音楽の流れを読み取れるのが一流の証、ではあるのでしょう。こうした流行が音楽史を作っていき、その流れのなかで彼女はこうした発明で、輝かしい一時代をつくったのだと感じました。