思考ノイズ

無い知恵を絞りだす。無理はしない。

羽生善治 闘う頭脳 (文春文庫)

 この超人の頭脳について触れてみたいと思うのは自然なことではないだろうか。

羽生善治 闘う頭脳 (文春文庫)

羽生善治 闘う頭脳 (文春文庫)

 

 

この本にはプロになり7冠を取る前に大注目されていたころから、ここ最近までの幅広い期間に出版された羽生善治の著書ならびに、対談の記録を複数まとめた文庫書である。将棋であったり、棋士としての人生観、プライベートの過ごし方まで多岐にわたり書かれている。

 

そもそも将棋という盤を取り巻くの小宇宙は人生の縮図といっても過言ではない。勝つか負けるか、また勝つためにどのようにふるまい、研究し、人と付き合っていくか、人生を単純化したような世界観をみることができる。

 

その小宇宙の中で四半世紀以上トップで張り続ける男がご存知のこの男なのである。選りすぐりの将棋の天才・努力家が集う世界で頂点で居続けられるこの人の頭脳に触れてみたい、と思うのはとても自然のことではないかと思う。

しかしながらその答えは見つからなかった。とても頭の回転が速く、説明がうまい、というのははしばしに感じることはできるのだが、自分が超人たるゆえんをつかみ取ることはできない。しかしよくよく考えてみると自分がなぜそんなにすごいのか、ということをきっちり説明することは難しいだろう。例えば、どのように息をしているのか、どのように腕を動かすのかという、当たり前のことを説明することは難しい。羽生さんも将棋を小さいころから当たり前のように指し続け、あたりまえのように勝つことを目指して研究を続けてきた。だからどうしたら羽生さんのようになれるのか、という答えを羽生さん自身が持っているわけはないのだ。

 

ただ、その答えを見つけることができなくても、彼の生き方・考え方の片りんはとても参考になる。この本では、将棋の世界でトップを張り続ける男の片りんを長い期間の記録として味わうことができた。

Windows 10が(俺の中で)完成形に近づいている

強制アップロードであちらこちらで悲鳴が上がりとても悪名高いWindows10だが、私個人的にはとてもよくなっているかと思う。

 

そもそもWindows8/8.1が最悪だった言わざるを得まない。強制的にメトロモード(正式には違う名前だが、もはや忘れてしまった)で起動して使い慣れたデスクトップ画面にするためにはワンクリックをする必要がある。おそらくはiPhoneやAndoroidのモバイル戦略に対抗してアイコン画面インターフェースを浸透させようとしたようだが、既存ユーザにため息をつかせるような変更としか言いようがない。Win10でこれを廃止した(正確にはユーザが選択できるようにした)のは大正解。というかもとに戻っただけ、ともいいますが。

 

そして今後、Windows Anniversaryについて情報がちらほら出てきました。その中でビックトピックはUbuntuベースのバッシュコマンドをネイティブでサポートをする、ということだろう。

blogs.windows.com

早速Insiderプログラムに登録して使ってみたが、現段階で自分が使う程度のちょっとした開発には申し分ないできになっている。いままで仮想環境を立ち上げていたのだが、その手間が十分に減る。自分の開発環境の構築も問題なくできた。

 

もはやこれでWindows10は私が使うpC環境としては完成形に近づいたといっても過言ではない。こんなOSがただで利用できるなんてすばらしい。

OSの発達が喜ばしい一方でこの先の開発がまた大変になるだろうなぁと、門外漢ながら心配してしまう。また再びWindows8.1のようなよくわからないインターフェイスにもどすなどといった変更だけは避けてほしいものだ。

冒険歌手 珍・世界最悪の旅

知人の強い勧めもあってこちらの本を読了。いろんな意味で感性、価値観を広げることができる本であった。進めてくれた会社の知人も言っていたのだが、筆者の「自分の人生がこのまま苦労ないまますごしていいはずがない。」という普遍的な悩みを解決する方法として、ヨットでパプアニューギニアのジャングル探検と登山というとてつもない発想に驚きを感じる。そしてそこでの記録は近代的・衛生的な日本では経験することはできないだろう数々の冒険の記録に度肝を抜かれた。

 

冒険歌手 珍・世界最悪の旅

冒険歌手 珍・世界最悪の旅

 

 

しかしこの冒険記はこの本の魅力は半分でしかない。実はこの本の隠れた魅力は人間記にある気がする。ここで出てくる筆者の恵子さん、舞台を引っ張る隊長、そしても一人のユースケこと現在冒険家・ライターの角幡唯介さんの人間実や関係性がこの本を読み進めていくとグッと味がでてくる。

特に特筆すべきは隊長だ。冒険記の最中では恵子さんと隊長は何度かぶつかっている記述がでてきたが、正直隊長の人間性は垣間見えなかった。しかし、この本の付録である恵子さんとユースケさんの対談で隊長のやばい人柄がでてくる。(やばいというのはすごいと、紙一重なのではあるのだが。)

冒険記にはこの隊長がいなければスムーズにことが進まない場面もいっぱい出てくるし、そもそもこの計画が発生することはないのは事実であろう。しかしながらこの過酷な状況で隊長を含め三人の意思が疎通せず、特に隊長は独断専行の自分判断で事をすすめるために2人をいらいらさせることがおおかったようだ。(現にユースケさんはついていけず途中で帰国している)。

この本で、やばい冒険における、やばい民族との出会い、やばいジャングルでの生活、さらには身内にいるやばい隊長との生活という、筆者が求めて実現をした苦労を十二分に感じることができる。自分もここまで過激な方法ではなくてもなにか成長のために、小さな冒険を積み重ねていくことは重要だと思った。

逆転思考 400以上の新規事業から導かれた ありえない成功のルール

 どうも、いまの自分の現状から打破したいと思いながら本屋に入ると安易に自己啓発系に走りがちである。そのなかでタイトルにひかれて買ってしまったのがこちらの「逆転思考」という本である。

正直言わせてもらうとこの本のタイトルと内容は合致していないように思える。逆で言わせてもらうとタイトルで損してしまうほど、正攻法で効果的な「自分の成長の方法」について言及している。

逆転思考 400以上の新規事業から導かれた ありえない成功のルール

逆転思考 400以上の新規事業から導かれた ありえない成功のルール

 

 

人は失敗をおそれ、なるべく失敗しないほうに行動する癖が身についてしまう。特に日本の企業にいると出る杭で余計なことをし、さらにそれが失敗までしまうと本人も委縮をしてしまい、周りも次のチャンスを与えなくなってしまう。こうなると個人的にも成長ができず、組織的にもゆっくりとしぼんでいく。これが日本の現在の負のスパイラルといえるかもしれない。

 

本書では逆に挑戦と失敗を推奨する。失敗から学ぶことは非常に多く、その失敗がすぐに成長につながり成功への近道となるという。もちろん一言に失敗といってもいろいろあるが、ある程度「失敗」をコントロールして致命的な失敗を避け、成長につながる挑戦と失敗のサイクルができる方法・マインドセットを持つことを紹介している。

確かに今のままルーティンで業務をこなしているだけでは次に進まない。身の丈に合った挑戦を繰り返し、失敗と成長を繰り返していく成長のルーティンを作り上げなくては自分の目標への達成は難しいだろう。先ほど、現状を打破するために買ったと言った。そしてタイトルが内容と違うとも言った。面白いことにその結果に今の自分の状態にぴったり効く内容の本になっていたと思う。

チップに賭けた男たち

熊本をはじめ、九州の被災地において現在大変な現状が伝えられている。現地が落ち着き、地の皆様が安心な暮らしを再開できるよう強く祈りたい。

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モノづくり日本の象徴であった半導体事業。なにがどのようにすごかったのか、その記録が11の例をあげて記録されている。

 

チップに賭けた男たち

チップに賭けた男たち

 

 

最近、日本を称賛する番組が増えているという。海外との技術力やおもてなしの対応との差を比較し、ほめたたえるものだ。この内容には逆に日本の現状における「劣等感」の裏返しともいわれている。

この本も発行されたのが1998年で、バブルもはじけて久しく、主に日本産業の誇りであったモノづくりの分野を中心として、元気がなくなってしまったときである。 この当時もおそらくそうした背景でだされた本なのだと思う。

 

この本でかかれている各項目で述べられているパターンがほぼ決まっていて、アメリカで発見された革新的な技術テクノロジーが、日本にわたり技術を製品化できるモノに磨き上げて販売、大ヒットをさせ恩恵をもたらすのが日本企業というストーリーだ。

 

このお得意のルーティンが使えなくなってしまったのは日本技術の衰退というわけではないだろう。ただ、最先端の技術開発が半導体がメインでなくなってしまい、その新しい技術開発の場のながれについていけなくなってしまったのだと考えさせられた。

 

引き続き新しい流れに乗るためにはベンチャー企業の発展が必要不可欠だが、残念ながら日本の社会風土にそれを育て上げる土壌がない。現時点で世界に名をはせるベンチャーはアメリカからとなってしまった。

この本の出版からもうすぐ20年たとうとしてる。あきらめず、再度、世界へ挑戦できるベンチャー企業を育て上げるための対策対応を考え続けなくてはいけないかと思う。

 

脳が認める勉強法――「学習の科学」が明かす驚きの真実!

 脳は複雑。現時点でもまだ解明されていないことは多いが、学習効率をいかに高めるかはブラックボックス的なテストを積み重ねてある程度ノウハウがたまっているようだ。本書でその内容を簡潔に得ることができる。

脳が認める勉強法――「学習の科学」が明かす驚きの真実!

脳が認める勉強法――「学習の科学」が明かす驚きの真実!

 

勉強をする目的はいろいろある。いつ、どのように成果をだすのかによってその学習方法を考え込む必要があるが、本書では効率的に学習効果を出す手助けになりそうだ。一部をまとめてみたい。

 

記憶力を高めるために ()

  •  環境に変化をつけたほうが記憶が定着しやすい。静かな場所よりむしろ五感に刺激が与えられる環境のほうが、記憶の呼び出しに効果がありそう。
  • テストは記憶の定着に有効。結果に関係なくテストをおこなうと自体に記憶の定着に効果がでる。
  • 記憶の定着のためには学習の時間を分散させたほうが効果的。間の感覚はその記憶力の定着が必要となる時(たとえばテストの日)がどれだけ先にあるかによる。間隔を開けると定着に時間がかかるが、長期間記憶が定着する。

ブレイクスルーの手助け

  •  ある問題に対し考えが行き詰ったときには、一度ブレイクの時間を与えるとよいアイデアがうまれる。

反復練習のやりかた

  • 反復練習を行う際には規則的な繰り返し練習よりも、ランダムでの練習のほうが成果があがる。また学習した内容を応用することも容易になる。

睡眠・無意識

  • 睡眠中の眠りの深さによって学習の記憶や運動の記憶の定着などが変わってくる。何を定着させたいかによって、学習と睡眠のタイミングを変えて効率をあげることができる。

このようにこれまでにおける様々な実験の成果により効率をあげる学習・勉強方法が解明されている。これからなにかを習得する必要がある方はこの本の内容を実行すれば必ずその手助けになるだろう。

 

人工知能の脅威の本質

Microsoft 謹製のTayが話題になっている。

www.buzzfeed.com

これはよい人工知能脅威論の火付けになってしまったと思う。皆が持っている漠然とした脅威を具現化したMicrosoftは実はわざとやっているのではないかとさえ思ってしまう。しかし本当に脅威は「人工知能」にあるのだろうか。

 

私は暴言を学習してしまった原因は、当然暴言を学習させた人間がいるからと考える。人工知能は無機質なプログラムでありそれに対し人間らしさを投影するのは人間の脳。人工知能は道具の一つであるという認識をもたないといけない。

 

そう本当の脅威は人工知能そのものではない。実行知能を使ってほかの人間に害を与えようとする人間なのだ。そうした人間を取り締まる法や規制の整備を手遅れになる前に考えておいたほうがよいのではないか。これは人工知能を禁止することを唱えているわけではない。もはや禁止ることは不可能だし、科学の発展の良い面を無視してはいけない。ただし新しい道具を利用して悪用をする者に対して、犯罪行為として取り締まる規制・法律が必要なのだ。包丁は人を殺す道具として使ってはいけない。この概念を人工知能にも適用する検討を一刻も早く考えておく必要があるだろう。さもなくば近い将来に大きな混乱を招くに違いない。それは人工知能のせいではなく、使用をおこなうものの責任とならなくてはいけない。